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2011.05.31

地図カフェvol.1

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5月22日(日)に「地図カフェvol.1-地図ってなに?」を開催しました。
石川初さんの地図レクチャーを3パートに分け、カフェ休憩を挟みながらフルに贅沢に味わっていただこうという今回の企画。詳細はこちら
雨が降るなか、38名の方に集まっていただけました。
お越し頂いた方、どうもありがとうございました。

会場は新宿区内藤町に建つ一軒家、ラ・ケヤキで。
1階の3部屋を使って、一番広いホールをレクチャー部屋に、残りの和室と居間の2部屋にはそれぞれテレビを置き、リアルタイムでレクチャー部屋の中継が流れるようにしました。
地図とふれあいながら、お茶でも飲んでのんびりしてもらえたらなー、というのがそもそもの企画メンバーの原案。
そこで各部屋に講師セレクトの「地図にまつわる本棚」も設置し、レアものの地図から、どこが地図に関係しているの?と首をひねる本まで、幅広くみなさんに楽しんでいただきました。

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そして今回、私はカフェメニュー担当を仰せつかったので、地図菓子を作ってみました。
一品目が一番上の写真に登場した、その名も「地層ムース」です。
新宿区は大きく分けて、北側が武蔵野面、間に低地を挟み、南側が下末吉面、と地形の変化に富んだ場所。そこで貝塚爽平さんの著書『東京の自然史』を参考に、会場の内藤町が位置する下末吉面[淀橋台]の断層を7層で再現してみました。
※右側の「山の手台地から下町低地にかけての様式的な断面」は貝塚さんの本より転載です。図中では下末吉面はS面と記述されています。

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ここでの目標は、地層の色や堅さ、粘り度などの再現で、味は二の次です。(あ、食べて頂いた方すみません、怪しい食材は入っていませんので!)
立川・武蔵野ローム層は赤土で下末吉ローム層だけ粘土質が強い、この差をどうするか、上総層群の岩盤質はどうやったら舌で味わってもらえるか、など試行錯誤を重ねました。
途中、上総層群の堅さ表現に失敗し容器が溶けたり、東京層が液体のまま固まらなかったりなど、いろんな問題がありました……地層は長い長い時の積み重ねで出来ていることを今回ほど痛烈に感じたことはありませんでした。

当日は「地形を味覚で感じてもらう」のですから、「ここはチョコムース?」などと訊ねられても「武蔵野ローム層です。」と、頑なまでに材料を秘密にしました。
ですが、もし、もしも作りたいという危篤な方用に材料のネタばらしを。

・地表に映えているケヤキの木/ブロッコリー
・地表面/ピュアココア
・立川ローム層/チョコムース
・武蔵野ローム層/ダークチョコムース
・下末吉ローム層/生チョコ
・上部東京層/黒ごまムース
・上部東京層から出土された化石/くるみ、ピーナッツ
・東京礫層/ブラックココアクッキー
・下部東京層/黒ごまムース
・上総層群/ブラックココア入りチョコレート

です。上総層群は抜群に堅かったようで、そこにスプーンが刺さって進まない皆さんを目の前に小さくガッツポーズでしたが、礫層のクッキーが柔らかくなってしまったことなど反省点は多々あり。

あともう一品、「地図サブレ」をつくりました。
牛が振り返っている姿、のようにもみえるこのかたちは「新宿区の1/70000図」です。

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左上のとんがっている耳が落合南長崎、しっぽが四ツ谷です。首の付け根が神田川沿いの中野区が食い込んでいる小滝橋あたり。中野区に対して、新宿区がちょっと膨張してしまいました。
すこし見えづらいですが、「SHINJYUKU−W」と真ん中に刻印し、会場の場所に点を打ちました。
食べているときに、新宿区を思い起こしながら「高田馬場を食べてる!」などと感じていただけたのが何よりの喜びでした。

地図カフェは連続開催の予定です。
このさきの日時はまだ未定なのですがまた決まったらお知らせしますので、ご興味のある方、よかったら足をお運びください。

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2011.05.17

『移動動物園』と『黄金の服』

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小学館文庫より発売された佐藤泰志さんの小説『移動動物園』『黄金の服』のカバー写真に「壁」を使っていただきました。

佐藤泰志さんは、1949年函館生まれの作家で、1990年に41歳で亡くなられた方。
亡くなった後、残された書籍が絶版になっていくなか、昨年冬より公開中の映画『海炭市叙景』(熊切和嘉監督)で再度評価が高まり、今年になってから次々と文庫化される運びに。そのなかの2冊が『移動動物園』と『黄金の服』です。

『移動動物園』は恋ヶ窪(国分寺市)、『黄金の服』は国立市が小説の舞台。
だったら小説の場所の壁がいいよね、との編集さんとデザイナーさんのご要望をいただき、はりきって撮影に出かけてきました。
結局はいつものごとくミクロなので土地の固有性も剥がれてしまうのですが、自分としては小説を反芻しながらその場所を歩き、壁を見る、という行為がとても新鮮でした。
佐藤さんフィルターを一枚加えると、街が複層化して表情を変え、皮膚の毛一本一本までもが鋭敏になった感じとでも言えばよいのか。たぶんいつもより増して奇怪な動きをしていたことと思われます。
※ちなみに「移動動物園」が廃屋っぽい一軒家の金属扉、「黄金の服」が線路高架下の壁です。

佐藤さんの文章は、当時の人々よりも、現在の私たちにこそ響くのだろうな、と思います。華々しくも何ともない淡々とした日常を、私たちがもがきながら生きていることに丹念に焦点を当てている。佐藤さんが命を削りながら綴った言葉の世界と向き合って、一語一語大切に読みたい本です。

装丁は名久井直子さん。
『海炭市叙景』からのこの3冊、ともに彼女が手掛け、通しで統一されたデザインになっています。興味のある方、よかったらどっぷりと佐藤泰志さんの世界に浸ってみてください。

 

 

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2011.05.15

『アイデアキャンプ −創造する時代の働き方−』

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『アイデアキャンプ −創造する時代の働き方−』がNTT出版より発売されました。
中西泰人さん/岩嵜博諭さん/佐藤益大さんの共著で、

「アイデアキャンプ」とは、
文具と街と自然の使い方に着目した楽しく発想するための新しい方法です。「オフィスを離れ、発想のキャンプにでかけよう!!」という提案です。

と、表紙の言葉にもあるように、彼らの提案する働き方が5章にわたって実践的に書かれています。随所に挟まれる佐藤さんのイラストが分かりやすく且つ素敵なタッチで、解説書っぽくなくとても身近に感じる体裁。カバーを取った中身の配色もかっこいいです。
今回、私もすこしだけお手伝いしたのですが(表紙のオビ写真の撮影をしました)、撮影にでかけた先の潮風公園は原っぱがいくつもあって、空も広くて風も抜けて、アイデアキャンプに書かれている内容がとても腑に落ちる気持ちのよい場所でした。一読、おすすめです。

 

 

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2011.05.14

『建築としてのブックガイド』

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『建築としてのブックガイド』が明月堂書店より今年2月に発売されました。

「コンセプチュアル・ブックガイドシリーズ01」と銘打ったこの本は、建築と題名に付くものの、建築が専門でない人ばかり25組が書いた書評エッセイ集。つまり、イメージとしての建築であり、人によってはかなりの意訳も含みます(それが面白い部分でもあります)。

ブックガイドをひとつの建築物に見立て、【玄関】【リビング】【浴室】【ベランダ】など全27のパートに分けてあるのですが、私は今回、そのなかの【外壁】を担当しました。
お話をいただいた時は、オハコすぎて何から手を付けたものやらと思いましたが、悩んだすえに、
「外のふくらみ」つげ義春、「デュビュッフェ」針生一郎ほか、「おじいちゃんの封筒」藤井咲子、「猫町」萩原朔太郎、「informal」セシル・バルモンド
の計5冊の書評を書きました。
本屋でみかけた際などはよかったら覗いてみてください。カバーのつくりがちょっと面白いことになってますのでご留意を。

 

 

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