« 『アイデアキャンプ −創造する時代の働き方−』 | トップページ | 地図カフェvol.1 »

2011.05.17

『移動動物園』と『黄金の服』

_1_2  _11

小学館文庫より発売された佐藤泰志さんの小説『移動動物園』『黄金の服』のカバー写真に「壁」を使っていただきました。

佐藤泰志さんは、1949年函館生まれの作家で、1990年に41歳で亡くなられた方。
亡くなった後、残された書籍が絶版になっていくなか、昨年冬より公開中の映画『海炭市叙景』(熊切和嘉監督)で再度評価が高まり、今年になってから次々と文庫化される運びに。そのなかの2冊が『移動動物園』と『黄金の服』です。

『移動動物園』は恋ヶ窪(国分寺市)、『黄金の服』は国立市が小説の舞台。
だったら小説の場所の壁がいいよね、との編集さんとデザイナーさんのご要望をいただき、はりきって撮影に出かけてきました。
結局はいつものごとくミクロなので土地の固有性も剥がれてしまうのですが、自分としては小説を反芻しながらその場所を歩き、壁を見る、という行為がとても新鮮でした。
佐藤さんフィルターを一枚加えると、街が複層化して表情を変え、皮膚の毛一本一本までもが鋭敏になった感じとでも言えばよいのか。たぶんいつもより増して奇怪な動きをしていたことと思われます。
※ちなみに「移動動物園」が廃屋っぽい一軒家の金属扉、「黄金の服」が線路高架下の壁です。

佐藤さんの文章は、当時の人々よりも、現在の私たちにこそ響くのだろうな、と思います。華々しくも何ともない淡々とした日常を、私たちがもがきながら生きていることに丹念に焦点を当てている。佐藤さんが命を削りながら綴った言葉の世界と向き合って、一語一語大切に読みたい本です。

装丁は名久井直子さん。
『海炭市叙景』からのこの3冊、ともに彼女が手掛け、通しで統一されたデザインになっています。興味のある方、よかったらどっぷりと佐藤泰志さんの世界に浸ってみてください。

 

 

|

« 『アイデアキャンプ −創造する時代の働き方−』 | トップページ | 地図カフェvol.1 »

コメント

すてき!いいね

投稿: なべかん | 2011.05.17 21:59

ありがとうー。いつもより重厚感多めです。

投稿: kimiko sugiura | 2011.05.18 22:52

恋ケ窪 !

投稿: NAKAMURA MASAHIRO | 2011.05.19 23:15

2月ごろ、恋ヶ窪の道をくまなく歩き、ヨーカドー閉店を知りました。。

投稿: kimiko sugiura | 2011.05.25 22:47

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/174384/39983097

この記事へのトラックバック一覧です: 『移動動物園』と『黄金の服』:

« 『アイデアキャンプ −創造する時代の働き方−』 | トップページ | 地図カフェvol.1 »