『そこへ行くな』
井上荒野さんの小説『そこへ行くな』が6月24日に集英社より刊行されました。今回、表紙カバーに壁を使っていただきました。
井上さんの小説は7つからなる短編集で、タイトル『そこへ行くな』に象徴されるようにすべて場所にまつわる話になっています。
「遊園地」「団地」「病院」「野球場」など、普遍的な場所が、急に複数の意味を持ち輪郭を帯びてくるような瞬間が精緻に描写されていて、ぞくぞくっとします。そして、あとを引きます。
この表紙カバーの写真は2007年8月に高田馬場で撮ったもの。(洋泉社『壁の本』に収録されています)
4年経った今、まだ存在してくれているだろうか…と再度行ってみました。
あの日は確かとても暑くてふらふらと歩いていたから細かな記憶がなく、たどり着けるかわからなかったのですが、
みつけました。細い路地にひっそりと佇んでいました。
同じアングルで比較すると、白いテープ跡がすっかり剥げてサビも進行。白いところはあらたに落とされたらしい鳥の糞だけ。
ああ、育っているなぁ、健在でなにより。と感慨深い心持ちで帰途につきました。
デザイナーは大久保明子さん。
カバーだけでなく、表紙や本文のデザインにまで壁の貼り跡が続いています。カバー紙のざらざらとしたさわり心地も色使いも魅力的。ご興味のある方、よかったら本屋さんで手にとってみてください。
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コメント
すげー(゜ρ゜)アウゥ
もう一流の写真作家だね!
投稿: RAID | 2011.07.02 01:52
「ああ、育っているなぁ、健在でなにより。」って思うところが素晴らしいですね。(*゚▽゚)ノ
投稿: naka | 2011.07.02 16:42
It's good that people can take the loan moreover, it opens up new opportunities.
投稿: WatkinsJuliana32 | 2011.08.04 09:23