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2013.04.04

神秘の「グー」

Imjage
 
「人間の網膜は見る物を平面としてしか捉えられないけれど、経験によって空間を認知している」ようなことを、いつだか何かの本で読んだ。そこで腑に落ちたのが、私は壁を観察するときの目線が網膜レベルになっていたこと。頭をからっぽにして目に忠実に歩いていると、街がのっぺりとした平面になり、気になる壁がぐんとクローズアップされてくる。それが面白くてたまらないことを。
 
なぜ今それを思い出したかというと、三ヶ月に入った娘の行動から。寝転んでいる娘は手を「グー」のかたちに握り、天に突き出すように持ち上げ、しげしげと眺める。そして今度はその「グー」を口のなかにまるっと放り込み、盛大にしゃぶり始める。この一連の行動が、空間認知の第一歩だと知ったからなのです。
 
新生児期の赤ちゃんは自分の手をそれと認識しておらず、手は制御の効かない不思議な動きをしている(娘の場合は、歌舞伎さながら見栄を切ったりしなをつくったり、たいそう優雅でした)。一ヶ月が過ぎる頃からだんだんと視力が上がり周囲をきょろきょろし始め、二、三ヶ月頃には自分の拳「グー」を眺めるようになる。
 
そしてここからが面白い!その拳を口に入れることによって、自分の目で見た平面の「グー」が立体であることを認識していくという。よーく見ていると「グー」を口に入れた後、また天に突き出し今度は「グー」の角度を微調整していろんな方向から眺めているのです。
 
あんな小さな拳にそんな神秘がつまっているのかと思うだけで、乳児観察も俄然エキサイティングになってくる。娘は拳のみならずあらゆる物体をそのままの形で捉え、興味深そうに目を輝かせる。本人にしてみれば意味をなさない物体が次々と現れて、毎日がおそろしいほどに新鮮なのだろうなあと。そこで私も壁だけではなく、意識的にではあるけれど、娘の見る世界をすこしでも共有したいと試みる日々であります。
 

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